宅建業免許は、更新手続きの際に添付書類として宅地建物取引業経歴書を提出することになります。
この際、免許を受けてから宅建業の営業を全く行っていない状態、つまり実績ゼロの状態であると、更新が非常に難しくなる可能性があります。
宅建業免許の更新と取引実績
不動産業の取引実績がゼロの状態で、なぜ宅建業免許の更新が難しくなるのかという理由ですが、それは宅建業法に以下のような規定があるためです。
第66条1項
国土交通大臣又は都道府県知事は、その免許を受けた宅地建物取引業者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該免許を取り消さなければならない。
六 免許を受けてから一年以内に事業を開始せず、又は引き続いて一年以上事業を休止したとき。
つまり、宅建業免許は不動産業(宅建業)を営むからこそ行政が免許を発行するものなので、免許が不要であれば取り消される扱いになっているわけです。
不動産業を取り扱わないにもかかわらず、宅建業免許だけを保持する状態は認めていないということです。
このため、更新の際に宅建業者としての取扱実績がない状態では「免許は不要」であろうとの判断がなされ、上記の条文から手続きが難しくなってしまいます。
宅建業の実績の判断は都道府県によって異なる
この点、更新の際にどれだけの実績があれば問題なしとするのか、あるいは実績がゼロの場合にどのような判断がなされるのかは、各都道府県によって取り扱いの基準が異なります。
従って、更新が迫ってきたものの宅建業の実績がまだないという場合で、「不動産業を行う予定はあることから、宅建業免許の更新手続きは進めたい」というケースでは、早めに各都道府県の宅建業免許窓口、または宅建業免許に詳しい行政書士に問い合わせ・相談しておきましょう。
東京都のケースでは、なぜ宅地建物取引の実績がゼロとなってしまったのかという理由書や、今後それをどのように改善していくのかという事業計画書などは、補足資料として免許更新時に求められることが多いようです。
なお、県によっては業法66条の規定によって、取引実績が1年ブランクになるだけでも、免許更新についてはかなり厳しい判断をするところがあるようです。