- 不動産業を開業したいが、最初はコストを抑えて自宅で始めたい
- 事業が軌道に乗り始めたらオフィスを借りるが、今は自宅の一室を使いたい
これまで不動産会社にお勤めの方が、経験を活かして不動産業を独立・開業されるとき、まずは自宅の一室を活用して始めようと思われるケースも多々ございます。
特に宅建業免許の新規申請にあたっては、行政庁の審査期間等で2ヶ月程度の営業ブランクが生じてしまうことが避けにくい状況です。
そのため、事務所とする物件を賃借して空家賃が発生することをできる限り回避するために、自宅を事務所として不動産業の営業を開始する要望が多いのが業界的な特徴ともいえます。
実際、当事務所でも自宅を事務所とする宅建業免許については、頻繁に頂くことの多いご相談の一つです。
原則的には認められていない「自宅事務所」
もっとも、自宅の一室を不動産業の事務所としての開業は、不動産業を営むために必要となる「宅建業免許」制度上、原則的には認められておりません。
そのため、要点を押さえないままご自身で自宅開業のための宅建業免許手続きを進められると、行政窓口で難色を示されたり、場合によっては受理を拒まれるなど、困った事態に陥ることも十分考えられます。
また、既にご自身で行政庁へ足を運んでみたものの、「どうも自宅を事務所として、宅建業免許の申請を受理してもらうことが難しそうだ」とお困りの方からご相談を頂くケースも多々ございます。
自宅で宅建業免許を取得するために
当事務所はこれまで、多数の不動産業者様が自宅で開業する際の宅建業免許申請に携わって参りました。
本ページでご紹介させて頂く「不動産業の自宅開業サポート」はこれまでの経験に基づき、自宅で開業される方の免許がスムーズに下りるよう、手続き面をしっかりサポート・代行させていただくサービスです。
行政の窓口担当者や免許審査担当者が適合性を判断しやすいように、分かりやすい写真の撮影、補足資料の作成などを通じて、できる限り自宅の一室を事務所として不動産業を開業できるよう、起業家様を支援いたします。
ただし、事務所とされる自宅の契約内容(賃貸の場合)や間取り等によっては、どれだけ資料を揃えても原則を覆せないこともございます。この最低限の要件につきましては、ご相談の際、最初に確認いたします。(間取りが気になる方は、お電話でもご相談を承りますのでご連絡ください)
自宅開業サポートの内容
本サービスには、自宅での不動産業開業に関する、以下の内容が含まれています。
自宅開業に関するご相談(最低限の要件確認) | ○ |
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宅建業免許の申請書類作成 | ○ |
ご自宅の写真撮影 | ○ |
行政窓口への申請代行 | ○ |
不動産業協会への入会補助(ご希望の方) | ○ |
ご自宅での写真撮影は、お客さまのご都合に合わせて夜間や週末に時間調整して対応させて頂くことも可能です。起業準備等で日中に時間が取りにくい方は、その旨お電話等でお伝えください。
自宅開業サポートの料金
自宅を事務所として宅建業免許の申請を行い、不動産業を開業するまでに必要な代行料金や諸費用は、以下のとおりです。
自宅開業サポートの料金 | 77,000円 |
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行政庁への法定手数料(知事免許) | 33,000円 |
合計 | 110,000円 |
不動産業協会への入会金や分担金
上記合計額のほか、全国宅地建物取引業協会(全宅)や全日本不動産協会(全日)への入会を希望される場合、各協会への入会金や分担金などを合わせて、約150万円から180万円程度の費用が別途かかります。(東京都で開業する場合)
この入会金や分担金は、別にオフィスを借りて事務所とする場合でも、自宅の一室を事務所とする場合でも、金額に差はありません。
後日、あらためてオフィスを借りるときは?
自宅で不動産業の開業までこぎ着けた後、あらためてオフィスを借りて自宅の一室から事務所を移転するときは、本店移転の届出を管轄行政庁に行い、宅建業免許の書換等をする手続きをとります。この行政手続き自体には、法定手数料などはかかりません。
また同じ都道府県内であれば、各不動産業協会への費用が重ねてかかることも(通常)ございません。
ただし、不動産会社を設立して本店を自宅住所とするケースでは、後日移転の際、この本店所在地を変更するために登録免許税がかかります。(移転前、移転後の管轄法務局がどこかによって異なりますが、概ね3万円から6万円程度です)
もし後日の移転を前提に自宅事務所で開業されるご予定であれば、移転も含めてのお見積も可能ですので、その旨お伝えください。
お手続きの流れ
自宅で不動産業を開業するまでの手続きは、概ね以下のように進みます。
- 自宅開業に関するご相談・お打ち合わせ
- 行政書士による現地確認(または写真や図面での事前確認)
- 特殊な間取りの場合などは、行政窓口への事前確認(行政書士)
- 宅建業免許の申請に必要な書類の収集・作成の代行(行政書士)
- 事務所とするご自宅の全景、入口、室内等の写真撮影(行政書士)
- 完成した申請書等への押印(お客様)
- 行政庁への免許申請の代行(行政書士)
- 不動産業協会への入会届(供託ではなく入会をご希望の場合)
- 行政庁および不動産業協会での審査
- 不動産業協会審査担当者の現地確認(お客様の自宅一室にて)
- 不動産業協会への入会金等の振込(お客様)
- 行政庁からの免許通知(お客様ご自宅へハガキが届きます)
- 不動産業協会の分担金の供託および供託済証の発行
- ハガキと供託済証を持って、行政庁で宅建業免許証の受領(お客様)
- 自宅を事務所として不動産業の営業開始
その他の自宅事務所ならではの注意点
もともと住居用の集合住宅など、営業が禁止されている賃貸物件等では、何の事業であってもその場所を事務所とすることが(通常)できません。そのため、別途承諾書などが発行してもらえない限りは、不動産業の開業は困難となるケースも多いです。
部屋の独立性について
ご自宅の事務所として使用する予定の部屋まで、入口から他の部屋を通らずに(廊下だけで)入ることが可能か、またはその部屋に独自の入口が設置されていなければ、不動産業の開業(宅建業免許の申請)は困難となります。
よくある間取りで、入口の扉を開けるとすぐダイニングルームという構造がありますが、この構造では必ず生活スペースであるダイニングを通らなければ事務所とする部屋へ入ることができないため、宅建業免許の要件を満たさなくなってしまいます。
また、事務所として使用する一室までは廊下だけでたどり着けるとしても、事務所予定の部屋の奥に、事務所を通らないと入れない部屋が存在する構造である場合も、免許を受けることが困難となります。
生活スペースである奥の部屋に入るために、必ず事務所とする部屋を通過しなければならなくなる(事務所と生活の区別がつかなくなる)ためです。
事務所の備品について
事務所とする自宅の一室には、事務机、パソコン、プリンター、接客セット等が用意され、逆に生活用品などはほぼ設置されていないことが条件となります。
事務所の電話回線について
上記のような自宅を事務所とする場合の構造的な要件を満たす場合ですが、自宅で使っている電話回線(番号)とは別に、不動産業を営むための電話回線(番号)が別途必要です。
とはいえ先に事務所用の電話回線を引いてしまうと、万が一、要件を満たさず自宅での開業が不可能なとき、その回線が無駄になってしまいます。
そ自宅を事務所として不動産業を開業するための他の要件をしっかり確認した後に、電話回線(番号)の準備を進めるようにしてください。
自宅での不動産業開業でお困りの方へ
以上のように、自宅を事務所とする不動産業の開業手続きでは、主な注意点を挙げるだけでも結構な数になります。
もし「自宅を事務所にできるかな?」「自宅開業は可能かな?」とお困りの際は、当事務所に一度ご相談いただければと思います。
場合によっては図面をご用意頂き、行政庁での確認を行います。無責任な回答はしませんので、その点はご安心ください。