宅建業免許を取得した不動産会社で、免許取得後に各種の情報が変わったときは、変更届という届出を行政の担当窓口で行わなければなりません。
変更届を未提出でいると、免許の更新や大臣免許への免許換えなどが行えなくなってしまいます。
宅建業免許の変更届の手続きが必要なとき
提出しなければならないのは、主に以下のような変更があったときです。
1.商号が変わったとき
会社の名称(商号)に変更があったときは、商号変更の登記を行った後、その変更が反映された履歴事項証明書などを添付して変更を届け出ます。
会社の商号が変わると、それまでの宅建業免許証の業者名も変わりますから、変更届を行う際には宅建業免許証の書き換え交付も同時に申請する必要があります。
2.主たる事務所の所在が変わったとき
こちらも、主たる事務所(本店)所在地の変更登記を行った後で、その情報が反映された履歴事項証明書が必要です。
また、宅建業免許証にも本店の所在地は記載されていますから、免許の書き換え交付申請を同時に行わなければならないことなども、商号の変更と同様です。
それに加えて、主たる事務所の所在が変わったときは、新しい本店(事務所)の写真を撮影して添付する必要があります。
3.代表者や役員が替わったとき
会社の代表取締役(合同会社の場合は代表社員)や取締役が入れ替わったり、退任したりしたときにも変更届を提出することになります。
添付書類として、新しい代表者や取締役の身分証明書や登記されていないことの証明書、略歴書などの他に、役員変更が完了したことが確認できる会社の履歴事項全部証明書などが必要です。
4.政令で定める使用人や専任の宅地建物取引士が替わったとき
政令使用人や専任の宅地建物取引士が替わったときにも、会社の役員変更と同様に、新たに就任する者の身分証明書や登記されていないことの証明、略歴書などが必要になります(専任の取引士は身分証明書と登記されていないことの証明は不要)。
また、就任・退任・交代したのが専任の宅地建物取引士の場合には、(東京都では)顔写真も添付します。
5.従たる事務所を設置したとき
新たに従たる事務所(宅建業を営む支店や営業所など)を設置したときも、変更届の提出が求められます。
このケースでは、新たな事務所に設置した政令使用人や専任の宅地建物取引士などが増えますので、その政令使用人についても身分証明書や登記されていないことの証明書、略歴書等、専任の宅地建物取引士については略歴書等を添付しなければなりません。
また同時に、支店の登記を行う場合には履歴事項全部証明書が必要です。新たな事務所の写真、供託金の積み増しに関する書類なども添付します。
6.従たる事務所を廃し、移転、名称変更したとき
設置とは逆に、従たる事務所を廃ししたり、場所が変わったり、使用していた名称を変更するというときにも、変更届を行わなければなりません。
7.代表者、役員、政令使用人、専任の宅地建物取引士の姓名が変わったとき
婚姻などによって、代表取締役や役員、政令使用人、専任の宅地建物取引士の姓名が変わったら、変更届が必要となります。
通常、役員の場合は履歴事項全部証明書などで証明し、政令使用人や専任の宅地建物取引士の場合は戸籍謄本などで証明しますが、代表取締役の姓名が変わったときは、宅建業免許に記載されている代表者名も変えなければなりません。そのため、免許証自体の書き換え交付申請も同時に行うことになります。
変更届の提出期限に注意
宅建業免許の変更届は、各種の変更があってから30日以内に出さなければなりません。この期限の始期は、「変更のあった日」であり「登記した日」ではありません。
たとえば、新しい代表取締役が4月1日に就任して、その登記を4月20日に行ったとすると、変更届の提出期限は4月30日であり5月20日ではありません。
会社の登記の変更は通常1週間から10日程度かかります。仮に4月1日にすぐ代表取締役変更登記の申請を行っても、その変更を反映した(新たな代表取締役の記載された)履歴事項全部証明書が取得できるようになるのは、4月8日から10日頃になる可能性が高いのではないでしょうか。
そこから変更届の準備をすると、手続きには実質20日弱しか期間が残っていないことになりますので、提出期限には十分な注意が必要です。
変更から30日を過ぎてしまったら
もし変更から30日を過ぎてしまうと、変更届を提出する際に始末書を添付するなどイレギュラーな対応を求められることになります。
規模の大きな企業であるほど、役員や営業所移転の変更届を期限内に届け出ることが難しくなってしまいますが、連続して始末書を提出していると宅建業免許行政上は厳しい措置が取られることもあるようです。変更の予定が立ったら、早めに資料などは収集しておくことをおすすめします。