不動産業で起業する場合、会社を設立して法人として知事または大臣の宅建業免許を受ける場合が多いと思いますが、法人化せず個人事業主の宅建業免許を受けることも、もちろん可能です。
宅建業免許を受ける際の個人事業と法人との違い
免許申請に関する個人事業と法人の違いは、実はそれほど大きいものではありません。書類上の違いは、主に以下の点に現れます。
書類の名称 | 法人 | 個人 | |
1 | 相談役及び顧問、5パーセント以上の株主・出資者等の名簿 | 必要 | 不要 |
2 | 代表者の住民票 | 不要 | 必要 |
3 | 履歴事項全部証明書 | 必要 | 不要 |
4 | 決算書の写し | 必要 | 不要 |
5 | 資産に関する調書 | 不要 | 必要 |
6 | 納税証明書 | 必要 | 必要※ |
法人だからこそ必要とされる1や3を除くと、違いは住民票の添付、資産に関する調書、および納税証明書の違いです。
資産に関する調書とは
資産に関する調書というのは、現金預金や有価証券、土地や建物等についての資産と、借入金や未払い金などの負債を簡単にまとめた表を作って提出するものです。宅地建物取引に関連する資産だけではなく、他の事業に要しているものや、私生活用の資産も含めて記載を求められます。
添付する納税証明書の種類
個人事業としての免許申請では、上記表の「※」印の欄、添付すべき納税証明書の種類が状況によって異なります。
個人事業主のとき
既に個人で事業を行っているときは、税務署が発行する直前1カ年分の所得税の納税証明書(様式その1、納税額等証明用)を添付します。
給与所得者のとき
市区町村が発行する、直前1カ年分の課税証明書を反婦します。課税証明書が取得できないときは、直前1カ年分の源泉徴収票(法人の代表者印のあるもの)を添付します。
どちらの納税証明書を添付するときでも、発行日から3か月以内のものでなければなりません。
個人事業として不動産業を開業するとき
個人事業として開業する際、その多くは個人事業主兼専任の宅地建物取引士で申請することになるはずです。従って、専任の宅地建物取引士の要件を満たすかどうかは、事前に確認しておきます。
また、自宅開業を選択する比率も高いかと思いますので、自宅を事務所として宅建業免許を受けるための要件も、予め確認しておいたほうがよいでしょう。
この他、契約締結者や銀行口座開設の名義なども個人名となるため、個人として自己所有の土地を切り売りしていく場合などはそれでも構わないかもしれませんが、不動産業を継続的に続けるのであれば、信用性などの面で不動産会社を設立してしまうほうが、当初よりメリットが大きいものとなるかもしれません。